本文へスキップ

外国人の真の共生を促進し、国際交流に寄与する NPO Oizumi Kokusai Kyouiku Gijyutsu Fukyu Center

2008年度活動報告2008 Report

ブラジル青少年フェスティバル


・ブラジル青少年フェスティバル
大泉町及び隣接地域にあるブラジル人学校5校に在籍する児童生徒による青少年交流フェスティバルをオーガナイズして、8年目を迎えます。2002年にスタートし、今年の10月第8回目を開催することになっています。参加校の数は毎年4〜5校です。このフェスティバルは、ブラジル人の子どもたちに、自分の母国の言葉や文化を意識化させ再認識させて、人間としての誇りと自信を持たせることをねらいとするものです。大泉町文化むらの大講堂を会場にして、ブラジル人有識者・知名人をお招きして教育・文化講演をお願いしたり、地域行政の長から激励のお言葉をいただいたりしたあとは、青少年が主役となって、学校ごとに、あるいは任意のグループごとに歌やダンスや寸劇を披露したりしながら、一日を楽しむという内容です。まだ数少ない経験ですが、参加者も年々増えてきており(参加者数:第1回400人、第2回1100人、第3回1200人)、このフェスティバルがブラジル人コミュニティの年中行事として定着することを私どもは願っています。また、行く行くは地域の公立学校の日本人児童生徒も交えてのバイリンガルな国際交流フェスティバルに発展させることが私どもの夢です。なお、このフェスティバルは、ブラジル大使館、大泉町等の後援を頂いて実施しているものです。
このようなフェスティバルの開催も、ブラジル人青少年に「居場所」を提供し、「自己表現」の機会を与えたいという私どもの願いを込めた事業の一環であることは言うまでもありません。このフェスティバルの企画を思いついた直接のきっかけは、近年、一部の子どもたちの中に「薬物」に関わり、非行に走るなどの好ましくない動きが見られ始めたことを憂慮し、非行や犯罪に巻き込まれることのないように注意を呼びかけてその危険を未然に防止する必要があると痛感したことによります。非行・犯罪への転落を防いで彼らの健全育成を図ろうという私どもの願いを理解して頂いた地域の学校の教師やブラジル系企業経営者など、関係者の協力を得て、第1回フェスティバルが実現しました。
第1回目のフェスティバルでは、ブラジル人学校4校の児童生徒が、「薬物」と「エコロジー」をテーマにしたダンスや寸劇を披露しました。その中には、薬物に手を出している友人を持つブラジル人生徒が曲を作り、それに踊りを振り付けたものがありました。ブラジル人学校に通う子どもの多くは日本の学校や日本社会で差別を受けた経験を共有しています。ブラジル人学校の存在が、そうした子どもたちに「自分とは何か」という問いを共有しあうための交流の「場」を与えているように思われます。このフェスティバルは、彼らに自分たちが日本社会でどのような位置に置かれているのかを認識し、それを表現する機会を与えたと見ることもできるでしょう。歌詞には同胞への愛情と自立を願う気持ちが表れています。同時に、日本社会に対する痛烈な批判も彼らは忘れていません。このグループはその後、日本の某音楽会社が主催するオーディションに合格しましたが、オーディションの受賞コメントには「僕達の周りで、まだブラジル人だからって言う差別や区別を感じることはあるけど、それを乗り越えて個性に変えていきたい。ありのままの自分を隠すことは恥だと思うし、僕達は個性や生き方を変えたりはしない。」という言葉があります。彼らは、ただ主流社会を批判し抵抗するのではなく、またその社会に迎合するのでもなく「自分たちの個性的な生き方」を貫きつつ主流社会で成功していこうというしなやかで、しかもしたたかな生き方を感じさせてくれます。ブラジル人学校は単にブラジルへの帰国を見越しての教育を施す場としてだけでなく、期せずして日本社会で生きていくためのサバイバル戦術を練る場ともなっていることをこのフェスティバルは私たちに教えてくれました。

Next

大泉国際教育技術普及センター

〒370-0517
群馬県邑楽郡大泉町西小泉1-12-17
TEL 0276-62-6076